子どもの成長過程で「これまで出来ていたことが出来なくなるのは良くないこと」と考えている人は多いものです。
例えば、以前は約束通りに行動できていた子どもが、最近になって約束が守れなくなってきたという場合、これは本人に甘え(怠惰)が生じているからと「今までは出来ていたでしょう?だからあなたは出来るはず。これからも今まで通り約束を守りなさい」と強いるのは非常に危険です。
特に思春期を迎える子どもの心身の状態は、私たちが想像している以上に繊細で日々の変化が大きく、これまで出来ていたことが出来なくなるという現象が起こるのは、大抵子どもの心身に複雑な問題が絡み合い悩み苦しんでいる時です。
ましてや子どもの過ごしている家庭や学校が、余裕と愛情をもって丁寧に見守ることが難しい場合は、尚更慎重に子どもと関わらなければなりません。
…と経験上感じているのですが、日々翻弄され続ける大人の中で過ごす子どもの何と多いことでしょうか。
余裕のない一律指導は、後にもっと大きな問題となって、子どもだけでなく子どもに関わる大人のみなさんにも必ずブーメランのように返ってきます。
「子どもが大人の理想通りに行動しない=厳しく指導すればうまくいく」
という考えはまだまだ教育現場のマジョリティ。
子育てや教育は、決してこのような単純明快で簡単なものではないのですが、子どもを甘やかすことと丁寧に見守ることの違いを見極めることは、日々大忙しの家庭や学校では至難の業かもしれません。