ひとつの病状や症状でも、医師や専門家など、診る人によって見解は異なります。どの見解が自分の今の状態に合っているのかを選ぶのは私たちです。
その上で「発達障害」を例に、この数日で感じていることを書きます。
★子どもの発達障害の症状
・名前を呼んでも振り向かない
・表情が乏しい
・落ち着きがない
・かんしゃくが強い
・大きな音が怖い
・プールやお風呂に入ることが苦手
・人がたくさんいるところを嫌う
・友だちができにくい
・授業に集中できない
・忘れ物が多い
・時間の管理が苦手
・すぐに気が散ってしまう
★大人の発達障害の症状
・ケアレスミスが多い
・〆切や約束ごとが守れない
・物事を順序だてて取り組むことが苦手
・長時間机に座って事務作業をおこなうことができない
・片付けができない
・ゴミを溜めっぱなしにしてしまう
・途中で作業を中断しているものが多くある
…これらは、うつ病の症状ととても似ています。
『うつ病の根っこは睡眠障害。
睡眠障害とは自分にあった睡眠がとれておらず、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。
うつ病は睡眠障害が必発であることを考えると、発達障害を疑う時にまずしなければならないことは、うつ病の有無を調べること。
つまり睡眠障害かどうかを調べて、もし該当したら適切な睡眠をとるサイクルをつくっていくことが、最初の改善策となります。
このように調べていくと、本当の発達障害の人はごく僅か。
多くの現代人が睡眠障害なのだから、ほとんどの人が発達障害ではなく、うつ病に該当します。予備軍はもっと多いでしょう。
不登校も引きこもりも、同じことが言えます。疲れていたら、出来るものも出来なくなるのは当たり前ではありませんか』
以上が、先日我が家がお世話になった医師のお話です。
これまで教育界では間違いなく「限界は自分で作るものだ!」とか「できることをできるだけ増やしていこう!」と言いながら、あらゆる知識や体力や技術を一律に伸ばそうとすることが美徳とされてきました。
結果、日々の頑張りに見合った睡眠がとれないことが積み重なり、無意識にうつ病まで進行していることに、多くの人が気づいていないとしたら。
生活に何らかの支障が出ている状態に「発達障害・不登校・引きこもり」といった名前をつけて表面上の対処をしようとしているのだから、本人は自信を失ったままで、治るものも治りません。
またこれまで関わってきた多くの子どもたちが、身体を壊してもおかしくない学校生活を精一杯頑張っていて、更に毎日塾や習い事に通って就寝時間が遅くなり、しかも一週間で一番忙しいのは土日だという現状を、今一度社会全体で見直さないといけません。
職員室でも「子どもたちのためにこれをしよう」「私たちも理想を掲げてもっと成長しなければ」と言いながら身体を壊していく同僚たちの姿は、いつもの光景でした。
その先生方だって、幸せな未来を夢見た昔の子どもたちなのです。
誰かが身体を壊してまでしなければならない子育てや教育ってなんだろう?
そんな後ろ姿を見て、子どもたちはどのように成長していくのだろう?
先日医師の話を聞いた後、うつ病について調べてみました。
日本での総数の多さ、発症の低年齢化、急増しやすいのは思春期であること、思春期と大人のうつ病患者の数はほぼ同じであること、専門医の不足、自殺の主な原因であること…
こんなにも大切なことを、重大事項として教育現場で取り上げられてはきませんでした。
もし一瞬取り上げられていたとしても、人手不足や業務過多の中で埋もれてきたり、優先順位が見えなくなったりしたてきたのでしょう。
本来は生活に支障が出る前に、当事者のうつ状態に気がつきたいところですが、残念ながらそれはとても難しいと医師も話していました。
だからこそ
疲れを侮るなかれ。
睡眠を侮るなかれ。
今回の医師の見解は、これからの子育てや教育に大いに参考にしてほしいことだと感じています。