教育

本当にその箱でいいのかな

作家の石井さんの著書にもありましたが、親の理想の学力に近づけるために、子どもを部屋に閉じ込め力づくで何とかしようとして、最後には我が子の命を奪ってしまったという悲しい事件がありました。


昔、似たような教え子がいたことを思い出します。


「学校から帰ったら、外から部屋の鍵をかけられて、勉強のために決められた時間がくるまで外に出してもらえない。夕ご飯も食べさせてもらえない」という家のルールがあるということでした。


また数年前に児童発達支援の仕事をしていた時も、2畳ほどの小さな部屋に子どもとスタッフの2人が入りカリキュラムを施すのですが、60分という決められた時間がくるまで部屋の外へ出ることは禁止。スタッフが部屋の鍵をかけ、外に出たがる子どもが泣きながらドアを叩く場面もありました。


子どもを一室に閉じ込めるという点では、学校も同じかもしれません。

それは「忍耐力」「協調力」「嫌なことにもチャレンジする力」「決められたことをやり切る力」など、何でも理由付けができます。

とても響きのいい言葉ですが、子どもひとり一人の背景、事情、個性、健康状態を見極めた上で、その子に合った学習環境を適切に提供できているのかは甚だ疑問です。

我が子のことでも一生わかることはないのに
数か月前に出会ったばかりの学校の先生が、一クラス30人や40人もの子どもを
一斉に理解するなんて、どう考えても不可能です。


これまで、子どもを100%理解している先生と出会ったことはありません。
ただ優秀だなと感じた先生は、いつも謙虚に子どもたちと向き合われていました。


教室から飛び出したり授業の邪魔をしたりするのは子どものわがままなのか、それとも私たち大人が見極められていないのかを振り返りたいところですが、今の学校は忙し過ぎて、そんな余裕もないでしょう。

教育という名の、コントロールにならないように気をつけたいところです。



もうひとり「大きな箱に無理やり入れられた感じで苦しくなるから、どうしても教室には入れないんです」と悲しそうに話していた教え子もいましたが、彼女は元気にしているかな。